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チェック・ポイント9宅地とその環境について

 この宅地のテーマは家作りとあまり関係ないと思われる人もいらっしゃるかもしれません。しかし、宅地がまだ充分固まっていないのに、家を建てたため不当沈下が発生し、家が傾いたなどの報道はたまに聞く話しです。また、最初、予想していた宅地の環境が、住み始めたら、「全然、当初の印象と違っていたため、引っ越したいくらい」と言う人もいます。

 なぜ、このようなことになるのか、さらには解決策はないのか、私なりに考えてみました。普通、宅地は造成工事終了後、できれば2〜3年間位は更地で置いておいた方が良いと言われています。なぜか、表面上は土が締まって見えても、造成工事の方法によってはまだまだ、中まで充分固まっていないからです。また、悪質な業者によっては造成工事中に完了後見えないことをいいことに冷蔵庫やテレビなどの産業廃棄物を宅地に入れるとも聞きました。これだったら何年たっても不当沈下が起きやすいのは当然です。

 私の家の場合、 1997年4月から7月までに造成工事を行い、その年の9月には基礎工事に入りましたので、非常に早い方でした。造成工事期間、私はほぼ、毎日業者の方と休憩時間話しをしたり、進行状況の説明を聞いていました。この時に聞いた話しが勉強になりました。

 造成工事が完了し、その 2ヶ月後に家の基礎工事を始めたかった私としては不当沈下の心配があり、それは絶対さけたかったものですから、工事方法にも関心がありました。不当沈下が発生しないように転圧(重機の力で土を固めていく方法)を十二分にかけてもらいました。さらに、「雨降って地固まる」のたとえの通り、自然の力も借りて、急ぐことなく、徐々に造成工事が進みました。

 約   メートルの造成工事が必要でしたが、いっぺんに全部土や石を入れるのではなく、その時々に土や石を入れたらまずは重機で転圧、そして、工事を中断し、雨水の力で固める方法の繰り返しでした。土も粘土質ばかりをいっぺん入れるのではなく、砂質の土も互いに入れるとか、また、大きい石、小さい石も宅地の高さによって、入れていく工法が違っていました。つまり、業者さんが言うには「同じ土ばかりいっぺんに入れれば簡単だが、1年近くたっても中はスポンジみたいに柔らかい」とのことでした。

 私のこの造成工事の時には梅雨ばかりではなく、かなりの大雨が降ったことも幸いしました。完成間もない宅地に、降雨時4トン車で入ったところ、普通はズボッと重みでめり込みますが、タイヤの痕跡が付く程度で、地面が固まっていました。 この宅地でさらに基礎を頑丈にするため、ベタ基礎工法を用いて地上面より下(目に見えない所)にセメント総使用量の3分の2が入れられています。ですから、宅地造成工事2ヶ月後に基礎工事を始めたにもかかわらず、今のところ不当沈下は発生していません。

 このように不当沈下の起きない工法はあります。しかし、普通は宅地造成完了後の土地を購入するでしょう。それなら、この宅地は不当沈下するのか、どうか、素人目にはなかなか分かりずらいものです。そこで、最低でも次に述べる事項は点検されたらいかがでしょうか。

(1)まずは不動産屋さんに造成工事が完了して、何年たつのか質問して下さい。
(2)さらには先に住んでおられる方に裏付けをとるため に、(1)と同じ質問を
するとか、その工事の状況も聞くのでも概要は分かるのではないでしょうか。また、その人と同じ業者なら、住み始めての家の状況も聞ける と思います。

(3)大雨の後、自分の乗用車で中に入り、(土の質によっても違いますが)点検したら少しは分かるのではないでしょうか。

(4)とりあえず直ぐに購入せざるを得ないと言う方は  (1)〜(3)を同時に行いつつ、確証が持てなければ、家作りを少し先にのばして、建てられても、結局は「急がばまわれ」になるのではないでしょうか。 

 次に、宅地環境が当初印象より変わったように感じるのは宅地を探している時期、以外と日曜日だけ見学し、しかも、不動産屋さんだけと話ししたと言うこともあるのではないでしょうか。日曜日と平日は明らかに交通量は変わります。道路が近くで便利と思っていたら、その便利さゆえに、平日はダンプカーやトラックがバンバン走っていることに気がつくのは日曜日のみの見学では分かりません。

 また、いずれ住み始めたら近所付き合いをすることになりますから、暴力団員とまで言わないまでも住人の中にはトラブルメーカーの方もいて、神経質な奥さんなら新築後「引っ越したい」と言われるのは絶対にないとは言えません。事実私も「あの人の顔を見るのもイヤ」と、聞いたことがあります。

 宅地は不動産屋さんが詳しいでしょうが、やはり売りたいと言うこともあって、そこの宅地の長所は言っても、なかなか、短所は言ってくれないはずです。では、どうすればいいのか。やはり、手間をかける必要があるのではないでしょうか。気にいった土地がみつかれば、充分、その土地の様子やまわりの環境は聞いた方がいいと思います。不動産屋さんだけでなく、そこの近くの商店や住民の方の話しも重要なポイントです。初対面で直ぐ全部を把握するのはそれは無理なことで、逆に警戒されるかもしれません。

 数回顔を合わせ、徐々に話すことによって、本当のことを教えて下さると思っていいのではないでしょうか。 このように書けば邪魔くさいと考えられる方もおられると思います。しかし、宅地は高い買い物です。都市部では家よりも高いです。しかも、もう引っ越ししないかぎり一生で1回の買い物です。車や電化製品を購入する以上に何回も確かめる必要があるのではないでしょうか。

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