TOP INDEX BACK NEXT

聞いた言葉・第157回目、『CB無線機は、この世の終わりまで使えるよ』

 

CB無線機は、この世の終わりまで使えるよ

 今回のこの言葉は、2007年6月29日に封切られた映画ダイ・ハード4.0(Live Free or Die Hard )の中で語られた台詞からです。(CB無線機とは、Citizens Band Radioの略で”市民無線”とも呼ばれている。世界各国で法律や状況が違うが、普通は定められた周波数の範囲内で低出力ながら免許なしで一般市民が使える無線機器のことを指している)なお、この映画ダイ・ハード4.0のことや、別に有名になった台詞については、先に「聞いた言葉シリーズ・第92回目、『デジタル時代の鳩時計」として紹介中です。

 この映画は、極簡単に言えばサイーバー・テロリスト集団と、それらとの闘いを描いています。このセリフは、映画後半の始め頃に出てきます。主役ジョン・マクレーン刑事(ブルース・ウィルス)が、コンピューター・プログラマーのマット・ファレル(ジャスティン・ロング)の友人宅へ犯人情報を求めて一緒に行くシーンがあります。その家には地下室があり、そこに肥満体のプログラマーであるワーロック(ケヴィン・スミス)がいました。

 色々話している最中にCB無線機を見つけたマクレーン刑事が、「CB無線機か? 君達にはローテク(高度先端技術とは違う低レベル技術と言う意味)だろう」と言ったところ、ワーロックから「そのCB無線機はなあ、この世の終わりまで使えるシステムだよ。俺は最後のマイクロチップがダメになっても外の誰かと交信したい」と反論されました。

映画ダイハード4.0パンフレットの表紙より

 そして、このCB無線機は、映画後半部分のシーンで、犯人を追いかけるトレーラー(トラック)に搭載されている同じような無線機によって、交信されFBIに繋ぎ、犯人が載っている車のナンバーや位置情報などを伝える重要な連絡で役立ちました。

 アクション映画ですし、色々な派手なシーンや主人公達の会話含めて、かなり割り引いて見ないといけないなあとは思いつつも、私なりに今回の言葉は思い当たることが、以前からありました。その前に、このCB無線機の使用状況ですが、例えば登山や何かのレジャーなどで携帯電話の電波状況が悪い時にトランシーバーで、お互いに交信するのに便利だと思います。

 また、仕事用にも短距離間での市内配達や(土木)工事などでも活躍していることを見たことがあります。ただ、携帯電話の普及で以前よりは、”大活用”と言う状況ではないようですが、それでも現在、様々なシーンで使用されていることは、私も聞いています。

 ここから少し話は変わりますが、携帯電話について、次のようなことを聞いたことがありました。ある携帯電話会社が、高層アンテナを建設する前の住民説明会で、電磁波による健康被害その他で不安を持つ人達に言った内容のことです。

 会社の方から、「この携帯電話は過去に発生した地震や災害にも強く、電話などの通信手段が使えなくなっても携帯電話は大活躍した。だから高層アンテナは利用者だけでなく、災害時の国民の安全を守るために必要だ」と胸張って説明を繰り返したそうです。これを聞いた住民の中には、「あの会社は、まるで携帯電話(高層アンテナ)が国民の命までも守るみたい話し方だった」と言っておられました。はたして、そのようなことばかりだったのでしょうか?

 皆様も良くご存じの通り、2011年3月11日発生した東日本大震災と大津波により、携帯電話については、次の「」内のようなことが発生しました。<(総務省の東日本大震災における 情報通信の状況 )より引用>「(前略) 今回の震災においては、地震や津波の影響により、通信ビル内の設備の倒壊・水没・流失、地下ケーブルや管路等の断裂・損壊、電柱の倒壊、架空ケーブルの損壊、携帯電話基地局の倒壊・流失などにより、通信設備に甚大な被害が発生した。 (後略)」

  つまり、まさしく未曾有の大災害時、安否情報や一刻の猶予も許されない災害出動や対策時間帯において携帯電話は、東北や関東地方を中心に役に立たなかったと言うことです。その結果、私の方へも当時、千葉県や東京都に住んでいた親戚の者から電子メールで「携帯電話が全然使えないから、パソコンのメールで連絡する。自宅は大きく揺れたけど安全で仕事もしていると実家に伝えて欲しい」と、数通の同内容のメール受信がありました。

 逆に、携帯電話が使えない状況下、電気やバッテリーさえあれば使用できるCB無線、アマチュア無線、各種無線機器や(回路が切断されていない)固定電話の方が、携帯電話の代替えとして使用されていたのは言うに及ばないことです。高層アンテナ建設前に地域住民に「携帯電話は地震や災害にも強い。地域の災害情報にも役立つ」みたいな説明をされた携帯電話会社の方々は、現在どう思っておられるのでしょうか。また、「千年に1回起こるような地震は考えられなかった」とか「全て想定外だった」と言いながら、他の住民説明会時には同内容を繰り返しておられるのでしょうか。

 私個人としては、過去も今後も様々なことがあっても、携帯電話含めて各種のIT技術などのハイテク化やデジタル化を否定している訳では決してありません。むしろ、その技術によって仕事や私生活も毎日過ごしている者ですから。ただ、既に私の「聞いた言葉シリーズ(目次ページ)」で紹介中の「デジタル時代の鳩時計」、「デジタル時代に、ますます重要なアナログ作業」、「メディアの取材現場は変わらないし、役割が強くなる 」などにも書いています通り、そのような技術が進めばすすむほど、逆に従来からあるアナログ機器や人の手による作業の重要性があると思っています。

私の関係ホームページ
 デジタル時代の鳩時計
 デジタル時代に、ますます重要なアナログ作業
 メディアの取材現場は変わらないし、役割が強くなる
 機械(ハイテク)もすばらしいが、人間も素晴らしい

 それは、日常不断においても同じことでしょう。さらに言えば、いつでも日本全国どこでも可能性のある地震を始め水害、台風、火山噴火などの自然大災害を前にして、何でもハイテクやデジタル技術が、万能のごとく通用する訳ではないと考えています。

 一方的に、「便利だから」、「ハイテク時代にふさわしくない」などとして従来からあるアナログ技術を全て切り捨てるやり方や風潮は、リスク(危険)分散の考えからしても、すべきではないと思っています。私は映画について、その時間楽しめればいいと言う単純な考えの持ち主です。ですから、その場面から実生活上のことは考えない方ですが、今回紹介の「CB無線機は、この世の終わりまで使えるよ」との言葉は、ある意味で逆に便利さ追求のみの現代風潮に対して警告を与えているのではと、映画を見た後で思いました。


(記:2012年11月12日)

TOP INDEX BACK NEXT