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聞いた言葉・第17回目、『人の気持ちは変りやすい

人の気持ちは、変りやすい

 この言葉は、私の20代前半の頃、あまり歳の離れていない先輩が、会議中、何回か言っていましたので良く覚えています。もう少しこの言葉を長く書くと、「人の気持ちは、いい意味でも悪い意味でも、本当に変りやすい。だから、同じことをするにしても、注意が必要だ」と。

 でも、なぜこのようなことを、繰り返し先輩が言っていたのか、今では事柄まで思い出せません。ただ、ハッキリ覚えているのは、以前に、例えばその人と同じ会社・職場・地域などであっても、その人はいつまでも、その当時とは一緒ではないので、何か話したり、頼んだり(逆に頼まれたり)、接する時などは、新たな気持ちで望んだ方がいいと言う意味でした。

 人は、たとえ同じ事柄を考えるにしても、自らが住む、働く、あるいは家族や同僚などのまわりの環境が変化すれば、以前は「A」と言っていたことでも、「B」と言うこともあるでしょう。

 それが、いい意味で皆のためになるような前向き方向なら、いいのですが、往往にして逆向きの悪い方向にむくこともあります。そのような時、今までその人のいいところを知っている人たちは、「あの人は、変ったなあ。以前は、あんなんじゃなかったのに」と、言うのだと思います。

 このように、人の気持ちが変るのは、本人の責任だけではないのは、言うまでもありません。人が仕事や生活をしていく上で、まわりの環境は大きな意味を持つ場合もあります。

 会社に入ったらいずれは人事異動もあるでしょうし、結婚したらしたで、住所の変更もあると思います。また、体や健康面は、その歳に応じて変化が出てくるのは、やむを得ないことだと思います。「いや、私は仕事も住む所も全然変っていない」という人でも、その方のまわりの環境やほかに住んでいる人は変っているかもしれません。

 先輩が言っていた「人の気持ちは、本当に変りやすい。だから、注意が必要だ」と言うのは、いくら以前親しく接していても、「新しい人に初めて会うのだと思うくらいで、丁度いいのでは」とも解釈できるのかもしれません。

 私自身は、できないことですが、いい意味で変らぬ心を持ち続けることは(一見全く変っていないように見えても)そのことを保つために、その方はそれ相当の努力をされているからだと思います。利害関係やどろどろした人間関係にずっとブレ続ける私から見れば、羅針盤の一点を見据えるように動じない方は、うらやましい限りです。(記:2002年11月7日)
 

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