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聞いた言葉・第218回目、魚と組織は頭から腐る

魚と組織は頭から腐る

 今回の言葉について、私は、テレビ朝日、2018年11月11日放送・遺留捜査 スペシャル(日曜プライム) で、京都府警・刑事部長・氏家隆明(益岡徹)の話しから聞きました。概要、先の部長が部下を励ます言葉として、次の「」内を語るシーンがありました。

 「今年一番嫌いな言葉は”忖度”だ。魚と組織は頭から腐る。尾っぽがふんばって押し返さないと、体全体が腐って死ぬのは目に見えている」

 ただし、 (2019年7月現在で) もう8か月ほど前のドラマでしたので当然、私は、その詳細は覚えていません。さらに言えば、私は、何故このようなことが語られたのかの背景説明もできません。ただし、この言葉の流れからして、あくまでもドラマ設定上、警察上層部が問題を起こし、それを根本解決できない体質を表現していたのではと想像しています。


 ここで、改めて、言葉の意味を広辞苑に解説してありますので、次の<>内を参照願います。ただし、解説が多数ありますので、上記の「」内の意味に近い内容を選びました

組織(そしき)=④(organization)ある目的を達成するために、分化した役割を持つ個人や下位集団から構成される集団。>

忖度(そんたく)=他人の心中をおしはかること。推察。>


腐る(くさる)=④人の心などが堕落して救えなくなる。用に堪えなくなる。>

 また、わざわざ、テレビドラマで、「忖度(そんたく)」が使われたのかも興味深いですが、この言葉は、2017年の流行語大賞にもなりました。本来は、上記の広辞苑の解説では、「他人の心中をおしはかること」ですから、良い意味です。政治の場合、本来の意味に沿って、国民のために忖度していれば、何も問題が起こるはずのない言葉でしょう。

 それが、逆に問題になったのは、国民のためでなく、森友学園問題で象徴されている通り、それは首相(為政者)のためだけに忖度されたから、この用語が悪い意味で「権力者の思いを推し量って、それだけの解決につくす」となったのでしょう。

 改めて、今回の言葉に戻ります。私は、この「魚と組織は頭から腐る」は、少しだけ意味合いが違うのですが、「川は下流から濁(にご)らず、上流から濁る」または「汚れた水は上流から流れる」にも似ていると思っています。

 日本国内だけでも、(会社なども含めて)組織数は、数えれば切りがないほどあるでしょう。そして、その構成する人(会社員など)は、合計すれば全国で何千万人という単位でしょう。しかし、何か問題あって、例えば最悪、会社が破産・倒産などになった場合、意外にと思うほど大勢ではなく、少人数が関わって起因しているようです。

 しかも、その危機管理対応は、最初からボタンの掛け違いするとか。もっとヒドイ対応は、事柄の隠ぺい、改ざんまでして乗り切ろうとするから、逆に社会(世間)の信用まで失い、より事態が深刻化した例は数多く見聞きしてきました。それらは、本来、倒産や破産に直接はつながらない役所関係でも似たようなことが起こっていました。
私の関係ホームページ
 敵を知り己を知れば百戦殆うからず
 反対意見にも真理あり
 全ての人をいつまでもだまし続けることは出来ない
 屏風と商売は広げすぎると倒れる
 ○○の大儀、私心なくば揺らぐことなし
 疑うことと確認することは違う
 毒にも薬にもならない話し
 「日本型経営」が危ない
 大局観察、小局着手
 常に自制心と謙虚さを持って

 なぜ、このような最悪のことになるのでしょうか? それは、結局のところ、トップに立つ人のところまで、問題・危機になることが伝えられない組織(会社)になっていたからでしょう。逆に、そのトップが、どんな反対・異論があっても、自らの意見に賛同する人しか聞き入れない体質があるならば、起こるべきしておこった問題といえましょう。

 つまり、このトップは、「魚と組織は頭から腐る」を気付かないからともいえます。この対策としては、結局は、(聞いた言葉シリーズ・第205回目の)敵を知り己を知れば百戦殆うからず」の格言が、最善策と思えます。

 自分のまわりに「イエスマン」ばかりを固めていれば、敵や相手どころか、その前に自らの問題や危機さえも感じない体質に近づいているといえるでしょう。私は、この言葉は、古い中国の、古い言葉ではなく、今も新鮮な響きを持って、上に立つ人への警鐘(けいしょう)とも考えています。

 冒頭のテレビドラマの言葉でも、腐る体質を防ぐ解決策として、「(前略) 尾っぽがふんばって押し返さないと、体全体が腐って死ぬのは目に見えている」との台詞(せりふ)もありました。先の中国の言葉と併せ、いずれも短い文言ながらも、全国あまたある組織(会社、役所なども含む)に通じるものと思えます。


(記:2019年7月22日)

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