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聞いた言葉・第82回目、『日本三大随筆』

 

日本三大随筆

 今回、最初から私の高校時代に習った国語の時間のおさらいみたいになりますが、ご了承願います。(このページ国語辞典の『大辞林』やフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』を参照にして書いています) まず、随筆とは「自己の見聞・体験・感想などを、筆に任せて自由な形式で書いた文章。随想。エッセー。」です。日本三大随筆とは、一般に(古い順番に並べますと)枕草子方丈記徒然草を指しています。さらに国語辞典の『大辞林』をもとに日本三随筆の作者を書くと、

  枕草子は、清少納言=「平安中期の女流文学者。本名未詳。父は清原元輔(きよはらのもとすけ)、曾祖父は深養父(ふかやぶ)。正暦4年(993)ごろから一条天皇の中宮定子に仕え、和漢の学才をもって寵を受けた。随筆「枕草子」、家集「清少納言集」など。生没年未詳。 」です。

  方丈記は、鴨長明=「[1155〜1216]鎌倉前期の歌人。通称、菊大夫。名は「ながあきら」とも読む。京都下鴨神社禰宜(ねぎ)の家に生まれ、のちに社司に推挙されたが実現せず、失意のうちに出家。山城国日野の外山(とやま)に方丈の庵(いおり)を結び、隠遁生活を送った。著「方丈記」「発心(ほっしん)集」「無名抄」など。 」です。

  徒然草は、吉田兼好=「[1283ころ〜1352ころ]鎌倉後期から南北朝時代の歌人・随筆家。本名、卜部兼好(うらべかねよし)。吉田兼好は後世の俗称。後二条天皇に仕えて左兵衛佐(さひょうえのすけ)に至ったが、のち出家。和歌・文章にすぐれ、頓阿(とんあ)・浄弁・慶運とともに二条派の和歌四天王とよばれた。家集「兼好法師集」、随筆「徒然草」など。 」です。

 勉強嫌いの私の高校時代、上記の著書、作者や冒頭の一説は、ある種無理やり覚えさせられ、テストにも出たと思いますので、あまりいい記憶ばかりではないのですが。でも、改めて書き出しの文章を読んでみると、下記のように書いてあります。

  枕草子=春はあけぼの。やうやう白くなり行く、山ぎは少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

  方丈記=ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖と、またかくにごとし。

  徒然草=つれづれなるまゝに、日くらし、硯にむかひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

  上記の書き出しは、現在でも書籍類ばかりではなくテレビなど何かの機会に度々、引用や紹介される内容です。また、これらの随筆全体のことを紹介するとなると、それだけで一冊の本が書けるくらいの分量になるかと思います。

 そうは申し上げても私の持ったちょっとした感想は、世に言われている名著、名文・名文章とは、最初の書き出しから、キレのいい、いつまでも記憶に残り、何かの拍子にふっと浮かんでくる、そんな書き方なんだなあと思いました。

 このようなことは何も平安・鎌倉時代のことばかりではなく、近代でも現代文学でも何か多くの大衆に支持される(ベストセラーとは、ちょっと違うような気もしますが)書籍類は、その要素を含んでいるような気がします。

 何か文章で自分の言いたいことや訴えたいことを書こうとする方は、もちろん中身・内容は最重要でしょうし、「終わり良ければ全てよし」みたいなことになるのでしょうが、それらのことも併せ、最初の冒頭に人を引き付ける魅力ある書き出しをされると言うことでしょうか。
   

(記:2007年10月1日)

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