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聞いた言葉・第86回目、『グーグルアースと古代の道』

 

グーグルアースと古代の道

 グーグルアースの特徴や活用方法などは、もう既に多くの諸先輩がホームページなどに役立つことを書いておられますので、私が改めて何か特別に書き足すことはありません。ただ、私もグーグルアースについて身近に感じることがありましたので、今回少し触れてみたいと思います。私は地元(長崎県大村市)の福重郷土史同好会に所属して、大村市や福重地区(旧・福重村)の郷土史を多くの方々から教えて頂いています。

 その教えて頂いた内容や自分で調査した事柄などは、できるだけ『福重ホームページ』の「大村の歴史」と「福重のあゆみ」ページに掲載するようにしています。その中の一つとして今春(2007年)から、奈良・平安時代にあったと言う「大村の古代の道と駅」と「古代の道、福重の修験道」を掲載してきました。

 この二つの古代の道とも、地元に存在していたことは何人かの方が史跡や伝承をもとに語っておられましたので概要について私も知っていました。また、「大村の古代の道と駅」を書くに当たっては、長崎県教育委員会が歴史の道関係の報告書(以降、「報告書」と称する)が出されていましたので、非常に参考になりました。ただ、これらのことで私が最も知りたかった古代の道跡(想定路含めて)と、その史跡が全て語られていたかと言うとそうではありませんでした。

左奥の山が郡岳(826m)、手前が郡川の河口付近(長崎県大村市)
写真中央左側付近に2つの古代の道があった

 結局は、やはり自分で一つひとつ探したり「報告書」を頼りに確認していく作業でした。古代の道跡などは、ある程度、「報告書」や書籍類で分かっていても、それを2007年現在の地図に図示していく自称「地図落とし」作業は、なかなか時間がかかりました。

 しかも、「報告書」に書かれている旧字(あざ)や、あるいは昔利用されていた道跡を証言できる方は、なかなかいらっしゃいませんでした。そのような時に思いついたのが、いつも何となく見ていたグーグルアースの航空写真でした。

  グーグルアースの利用と言えば、私はそれまで地元付近とか今まで旅行その他で行ったヨーロッパや国内の観光地などを漠然と高度を上げたり下げたりして見ているだけでした。これを古代の道跡を探すために何か利用できないか考えました。

  すると、今まで頭に考えていた古代の道想定路が高速道路、建物や圃場整備などで寸断された旧道が少しつながったようにも見えてきました。普通の地図でも、地元の方の証言や幅の短い寸断ならば想像はできます。でも、グーグルアースの航空写真の場合は、色々と違う視点で見える場合もあります。

  普通の地図なら道路は平面の線と幅で図示されていますが、このグーグルアースの場合、写真だから当然のこととは言え、山や建物などの影も見えるので、少し立体的にも見えます。しかも印刷された航空写真に比べ、まるで自由自在に高度を上げたり下げたりして見れるような気分で、また多面的に観察できて色々なことを考えてみました。

 つまり、「ここは今は平地だが周りの状況からして、昔は山や谷みたいになっていたのでは」とか「今は道路になっているが、本来大きな田畑の中央付近ではなかったのでは」とか、写真でないと分からないような雰囲気、さらには少しだけですが想像らしきこともできました。

  この想像も含めて古代の道跡(想定路)を一応自分なりに「地図落とし」をしてみました。ただし、これだけでは客観性がなく、ただの自己満足ですから、「ここに確実に道があった」との証言が当然必要でした。それで、地元の古老の方に「地図落とした想定路とグーグルアースの航空写真を見て頂きながら尋ねると、「あー、ここには高速道路や高圧電線の鉄塔ができる前までは馬車道があった。ほぼ真っ直ぐだった」とのお話を聞くことができました。

 この時、私は思わず「やった、そうですか。ここに30年くらい前までは馬車が通れる道があったのですね」と声が大きなっていました。これで、高速道路その他で寸断されていた旧道の図示が、ほぼ正確にできました。(この時のお話をもとに私が想定図を書きました。ご覧になりたい方は「大村の古代の道と駅」ページ中央部分に2枚の図を掲載しています。赤い点線が古代の道跡と思われるものです)

  古代の道とグーグルアースと言えば、千何百年前の道跡と現代技術のインターネットや航空写真で一見何の関係もないように思えます。しかし、見方や使い方を変えてみたら、何かの一点でつながるのだなあと思いました。このページ冒頭に書きました通りグーグルアース諸先輩方の活用方法がホームページに様々掲載されていますが、私も色々参考にしながら”中年の手習い”で挑戦してみたいと思います。


(記:2007年11月8日)

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