TOP  もくじへ戻る

私の温泉紹介
秋田県、乳頭温泉郷、鶴の湯温泉
都道府県名、地名、温泉地名など 入湯した旅館名(温泉施設名)
秋田県仙北郡田沢湖町田沢字先達沢、『乳頭温泉郷 鶴の湯温泉
主な泉質、温度など 備考備考(注:文章や写真は当時の情報です)
(全文は下記参照)重層食塩硫化水素泉他 60度 このホテルのホームページは、ここからどうぞ。
鶴の湯、中央:木戸口、左側:本陣
 「わっー、気分いい。何とも言えない。こんな所があったのか」

 人は感動した時、その素晴らしさに無言になるか、感嘆の声を上げるのか、よく分りませんが、私は大声を出していました。

 (今でこそテレビや本などで取り上げられていますので、超有名温泉ですが)実は、私は私だけだったかも知れませんが、この乳頭温泉郷・鶴の湯のことを全然知りませんでした。(当時)秋田空港で働いていた知人が、1990年9月28日に連れて行ってくれました。

 その前日、私は青森を駆け足旅行した後、秋田に入りました。まずは、”みちのくの小京都”と呼ばれている角館に行きました。(ここは大村市と姉妹都市の関係で、私は道草をして知人に迷惑かけてしまいました。このことの理由は、書けば長くなりますので、いずれどこかのページに掲載したいと思っています)
左側:木戸口、手前:駐車場、右側:水車

 その後、「田沢湖方面と温泉に行こう」との話しで、車を飛ばしてもらいました。段々と、山や高原が近づき、左に折れて今度は渓谷に下るようにして行くと、古めかしい家並と水車が見えてきました。

 入浴後分ったのですが、ここは電話は引いてあるが、電力は水車発電かもしくは不足があれば自家発電機を使用しているとのことでした。まずは、入口付近の写真を撮りました。

 (上記の掲載写真では小さ過ぎて見えないですが)木戸口の右柱には「田沢湖町乳頭温泉郷 秘湯鶴の湯」、左柱「本陣鶴の湯」と、筆字で書かれていました。

混浴露天風呂
 木戸口を入りると、その両脇の家並みは杉の皮でふいた屋根、板壁、囲炉裏、質素ながら良く整った和室がズラリ並んでいました。夜間照明用か、裸電球かランプか垂れていました。

 「昔ながらの、まるで江戸時代そのままやねえ」と言いながら、先に進むと事務所や売店もありました。川のせせらぎも聞こえ、温泉の匂いも強くなってきました。入浴料を払い、早速入ることにしました。

 まずは、中の湯に入り、その後、大きい露天風呂に入りました。とにかく、ここの第一印象が、”真っ白け”で、まるで牛乳風呂でした。足先はおろか、近くにあるはずの太ももや伸ばした手も少し沈めると見えないほどでした。

 なぜなのか色々と聞くと、「ここの源泉は、この真下からお湯が湧いているため、白い温泉成分がそのまま溜まっているから」とのことでした。

鶴の湯テレフォンカード
 (ご参考までに、温泉成分によっても違いはあるようですが、他の温泉地の例ですがタンクなどに貯めた後パイプで引けば、白い成分が沈殿してしまい風呂まで来ないで透明な色になるそうです)

 よく見ると、プクプクと気泡が見えて、「あー、この下から湧いているんだなあ。こんなん初めてですよ」と、話していしました。この時、ほとんどお客さんがいませんでしたので、お互いに写真撮ったり、きままに他の滝の湯、黒湯、白湯などに入りました。

 仕上げに、また、この露天風呂に入り、もう一回ぐるりと山などをゆっくり見まわすと、自然そのものがありました。とりたてて何か特別な温泉・入浴設備がある訳ではないのですが、なんと言うゆったり気分になれるのでしょうか。本当の心の贅沢とはこのようなものをいうのでしょうか。

 風呂上りのほてった体に川の冷水で冷やしただけのジュースが、これまたうまいのです。ここで、こちらのパンフレットをもらい、オリジナルのテレフォンカード(上記右側写真)を購入しました。

鶴の湯・配置図(パンフレットより)
 パンフレットには、鶴の湯の縁起(起源・由来)と、4つの源泉について説明がされていました。その概略は次の通りです。なお、4つの源泉については「 」内(引用部分)の通りです。

 この鶴の湯の歴史は、乳頭温泉最古の出湯とのこと。伝承によると寛永15(1638)年には秋田藩主などの湯治もあったようです。

 当時は「田沢の湯」と呼ばれていたようですが、その後宝永5(1708)年、傷ついた鶴が病をいやしているのを見つけた土地の猟師勘助が「鶴の湯」と名付けたのがこの名称の始まりと伝えられています。

 鶴の湯には白湯・黒湯・中の湯・滝の湯と湯つぼ(源泉)があり、それぞれ泉質が違うという珍しい特徴を持っています。
白湯=含硫黄−ナトリウム・カルシウム−塩化物炭酸水素泉(硫化水素型)。
黒湯=ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉。
■中の湯=含重曹・食塩硫化水素泉。
■滝の湯=含硫黄−ナトリウム・カルシウム−塩化物炭酸水素泉。 

 上記の説明の通り、350余年前の古くから秋田藩や地域の方々の湯治湯として、続けられてきた歴史ある温泉のようです。しかも、写真でもお分かりの通り、ほぼ江戸時代の雰囲気を伝える家並みが建てられています。

 この杉の皮葺き屋根や木造りの家を見ると私は思うことがあります。私の実家は、私の小学生の頃まで藁葺き(わらぶき)でした。何年かに一回、痛んだ所を部分的に藁(わら)をふきなおすのですが、家族総出で数日がかりの作業で大変でした。(反面、私はこの藁葺き屋根の夏季の快適さ、家族作業の楽しさなども覚えています)

 藁でこうですから、杉の皮ならもっと手(お金も)のかかることでしょうし、あるいは木造りの家ならその周辺も含め、手入れや整備が大変だろうなあと思います。しかも、こちらは、雪の多い所ですから、なおのことと想像します。そのような苦労の連続でも、営々と続けられてこられたことに対し、私は頭が下がる思いです。

 自然、温泉、杉皮葺きの家並みだけでなく、(今いまの私たちが)何か失いかけつつある大事なことが、ここ鶴の湯温泉には、まだあるようです。できれば、今度行ける機会があるなら1週間くらい泊まりながら、この温泉始め乳頭温泉郷の他の温泉、田沢湖周辺を歩きまわりたいです。(掲載日:2004年12月1日)

TOP
  もくじへ戻る