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今アルザスが面白い3、アルザスワイン

 『今アルザスが面白い』の3回目は、アルザスワインについてです。なお、私は、今回このページを書くに当たって、アルザスワイン街道のツェレンベルク(Zellenberg)村にあるワイナリー『ジャン・ベッケー(JEAN BECKER)』さんの所で頂いた日本語パンフレット(題名『横浜ワインコレクション』)を参考にしています。

 私は、今回の旅行前でもけっこうアルザスワインは飲んでいました。しかし、知っている銘柄は、リースリングくらいで、それ以外はほとんど知らないという状況でした。私が今回知り得た範囲内で、アルザスのワインの種類、栽培方法、グラスなどの特徴について、書きたいと思いました。

 ただし、私は、お酒全体が嗜好品と思っていますから、味や風味などは、いくら書いても個人差があります。ですから、どんなに私が「このワインはおいしい、なかなかいける」などと書いたとしても、人によっては合わないことは当然あろうかと思いますので、その点はあらかじめご了承願います。

 そのようなことより今回、私は主に表記上や外見上の特徴などを大まかに把握できればなあと考えました。次に最初から私のまとめみたいになりますが、アルザスワインには下記のような特徴があると思いました。

<アルザスワインの主な特徴点>
1)葡萄品種を表示している。
2)緑色の細長いスッキリタイプの瓶形状。
(掲載写真の通り)
3)どちらかと言う辛口の白ワインが多い。
(もちろん、赤、ロゼもあり)
4)葡萄栽培は、自然農法が多い。
5)ワイングラスは、足が緑色している。
・番外:コウノトリの付いたブッション
(コルクのついた栓)

 これからは、上記5点について、少し補足を書いてみます。

1)葡萄品種を表示している。
 (全部がぜんぶそうなっていいるのか、私は詳細知らないのですが既に他のページにも書いていますが)フランスの他の地域では、例えばブルゴーニュやボルドーなどは葡萄生産の地域や畑の名前(有名なところでは「ロマネコンティ」など)です。

 ところが、アルザスワインの表示名は、葡萄品種名です。今回ワイナリー見学した『ジャン・ベッケー』さんの品種は、シヤスラ(Chasselas)、シルヴァネール(Sylvaner)、トケイ・ビノ・グリ(Tokay Pinot Gris)、ピノ・プラン(Pinot Blanc)、ミュス力(Muscat)、ビノ・ノワール(Riesling)、ゲヴルツトラミネール(Gewurztraminer) 、ビノ・ノワール(Pinot Noir)の8種類とのことでした。

 アルザス地方の葡萄栽培農家が全てこの8種類を作っている訳ではありません。でも、この中の同じ品種は当然栽培されていますから、リースリングやゲヴルツトラミネールなど、ワイナリーやラベルは違っても、中央に書いてある同じ品種名ワインをお土産店やレストランで、私はけっこう見ました。

 ですから、アルザスワインは、ビノ・ノワールとかリースリングなど品種名を一旦覚えてしまえば、あとの違いはどこのワイナリー生産か、生産年の違いくらいと思います。私のような何事にも覚えが悪くズボラな性格でも、この品種名表示方法は便利だなあとおもえました。

2)瓶は細長いスッキリタイプ。(掲載写真の通り)
 ストラスブールでもアルザスの各村のお土産店でも、この細長いワイン瓶は良く見ました。また、帰国後いくつかのワインショップに行って、たくさんの陳列棚から探すのに、このスッキリタイプの瓶をまず探せば大抵アルザスワインに行き着きましたので、これまた、便利だなあと思いました。

3)どちらかと言う辛口の白ワインが多い。(もちろん、赤、ロゼもあり)
 これこそ、好き嫌い、個人差があるので書きにくいのですが、今回の旅行時、私は、リースリングとゲヴルツトラミネールの2種類を飲みました。いずれもが白ワインの辛口でした。このページ冒頭紹介のパンフレットに、これらのワインについて、以下の説明文がついていますので、そのまま掲載致します。(「 」内が説明文の引用部分です)

リースリング
 「オルレアン地方にあった品種と言われていますが、ライン地方より15世紀に入ってきました。耐寒性のある晩熟の品種、果実は小粒で多収性の特徴を持っています。『アルザスの王様』と言われるように繊細な花や果実の香りと上品な味の辛口ワインは、アルザスの特出したワインであることは間違いありません。魚介類やチキン、ポークといった白身の肉などを素材とした洗練された料理との組み合わせは絶品です。」

ゲヴルツトラミネール
 「ゲヴルツトラミネールまたはソービナンローズという品種ですが、アルザスにおいて何代かにわたり、芳香の強いものが選択され、現在のゲヴルツトラミネールが完成されたものと考えられています。1551年の文献にトラミネールがあると書かれていますが、ゲヴルツトラミネールとして出てくるのは19世紀頃と言われています。性質は早熟で、特にこのアルザスの気候にあっている品種です。ワインは特徴がはっきりしたもので、”薔薇の香り」”がすると言われることが多いのですが、人によってはエキゾチックな果物や、スパイス等を連想されることもある香りです。強烈な香りゆえ、ブルーチーズなど癖の強いチーズやタイ料理など、スバイシーな料理と格別の相性をみせます。」

 この説明文以上に私はなかなか言えないのですが、私の体験上、リースリングは、やや辛口か辛口なのに、むしろ甘口ではないかと思うような果物のような甘ささえ感じました。食べ物は、アルザス料理ならタルトフランベ、和食なら揚げ物で牡蠣(かき)かイワシのフライなどが合ったような気がしました。

 ゲヴルツトラミネールは、(既に他のページにも書きましたが)グラスに鼻を近づけた時点で、ふくいくたる花と果実の香りを感じました。口にふくむとさらに口いっぱいにフルーティーな味わいが一気にしました。

 この香りと味わいが慣れていないと強い感じがして、むしろ敬遠される方もおられるのではないかあとも思います。このワイン説明時の「太陽を感じるワインです」と言われましたが、私もその通りと思いました。食べ物は、アルザス料理なら肉と野菜などをワインで煮込んだベックオフ、和食ならスキ焼き、マーボ豆腐なんかも合うのかなあと思いました。

4)葡萄栽培は、自然農法が多い。
 この自然農法とは、日本で戦後主におこなわれた大量の科学肥料や農薬ではなく、科学肥料をいっさい使用せず自然の持っている力で作物を栽培する方法です。(日本でおこなわれている古来からある有機栽培農法とも違うようです)私が見学したワイナリーだけではなく、その後見たテレビなどでも写していましたのでこの方法が多いと思いました。

 元々このアルザス地方は、かつてこの地域が隆起して削られた後、断層により陥落しているため,ボージュ山脈からライン川までのブドウ畑の土壌はとても複雑になっているとのことです。そのため、この地の土壌にワインの質を区分することにより品種毎に造られる方が、ワインの特性を考えることが有効ではないかと言うことのようです。つまり、その地域の土壌の持つ力のみ(せいぜい、葉っぱや切られた枝などは土に返るでしょうが)で、葡萄を栽培するということでしょう。

5)ワイングラスは、足が緑色している。
 (残念ながら手元にいい写真がないので、掲載できないのですが)アルザス地方で多く見かけたこのワイングラスは、足(取っ手部分)が緑色した見た目がっしり、ガッチリした物です。なぜ、このような色と形状をしているのか、不勉強で分かっていませんが、ドイツ風の雰囲気もありました。私は買い忘れたのですが、お土産にいいのではないでしょうか。

・番外:コウノトリの付いたブッション(コルクのついた栓)
 まず、このブッションは、このページ掲載写真をご覧下さい。コウノトリは、この地では人の赤ちゃんを運んでくると言ういい伝えがある幸福の象徴で、アルザス地方のシンボルです。私は、このワインの栓は、今回旅行よりも数年前に甥・姪からお土産でもらっていました。

 なかなか可愛らしく今でも良く使用しています。ただし、瓶にきつく入れると、飾りの部分とコルク接着面が弱いため、壊れやすいのでゆっくり加減でコルクは入れた方がいいです。値段もお手頃で小さくてかさばらないので、アルザス土産にお薦めです。

 私の住んでいる田舎町でも、以前から種類は多くありませんが、ほっそりスッキリした瓶に入っているアルザスワインは見ていました。何もアルザスや独仏料理でなくても、和食や中華にも(一部魚の刺身などをのぞけば)大変良く合い、美味しいと思います。「私は、辛口はどうもねえ」と言われる女性でも、あのフルティーな、ほの甘さから口に合うと思いますし、辛口好みの男性ならより一層お薦めワインです。

私のホームページ、ワイン関係ページ
アルザス・ワイン街道巡り、太陽を感じるワインとは
百の書物よりも1本のワインの中に哲学がある

 最後にけっして私は、「アルザス地域のまわし者」ではありませんが、家族経営、自然農法、葡萄そのもの、ワインの品質にひたむきなまでもこだわりをもって造られているこのアルザスワインが、より一層多くの方に飲まれればいいなあと思っています。(掲載日:2004年9月1日)


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