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驚異のローマ建築、その4
 ローマの泉

ローマの泉

トレヴィの泉
 私は、1986年2月に初めてローマに行きました。(2回目は1996年9月でした)最初、各通りを歩いた時にけっこう沢山の泉や(日本風に言うなら)水道の蛇口のある水飲み場がありました。それも惜しげもなく水は出しっぱなしでした。元々、蛇口の栓もない形状もありました。

 2回目の旅行は夏季に親戚4人で行ったのですが、私たちは生水は体に良くないのではと言う思いから飲みたくても、我慢していました。でも、フォロロマーノの出口付近(コンスタンティヌス帝凱旋門側)にあった水飲み場では、小さな子どもたちが次々と飲んでいる光景を見ました。

 近くに親御さんもおられたみたいですが、注意どころかむしろ「もう、充分飲んだの?」と言う感じにも見えました。「えっ、ここの水は飲めるのか!」と、ちょっと驚いたのを覚えています。しかし、これは私の認識間違いで、古代ローマ帝国の皇帝たちは、ローマ市民に水を供給するために何十キロ先から、(今も世界遺産になるような)水道橋まで作って引っ張ってきていたのでした。

 先ほど書きました各通りの名もないような蛇口や泉類を入れれば、それこそローマには無数の泉がありますが、このページは私が写真をホームページに掲載している範囲内で取り上げたいと思います。(他の泉について、いずれさらに手持ちの写真及び原稿の準備ができれば、このページに追加掲載も考えています)

トレヴィの泉と私
トレヴィの泉
 ローマの泉の代表格は、なんと言ってもトレヴィの泉だと個人的には思っています。大きさもちょっとしたプール並で、子供ならずとも大人でも夏の暑い日には泳ぎたいと思うくらい涼しく感じました。また、いつ行っても世界各国から来た観光客含めて、この泉の前は賑やかでした。

 ザーザーと流れ落ちる水音とまわりの喧騒を忘れ、泉の上をじっくり眺めると、まずは、トリトンが操る海馬、貝殻に乗る海神ネプチューンなどの彫刻を見ました。その上には四季を表す女性像などがありました。これらがいずれもギリシャ彫刻のように精巧で生きいきとしていて,、左にいる海馬などは、いななきが聞こえる感じでした。

 このように泉だけでなく、泉の背景になっているポーリ宮殿の壁面との一体感、まわり(建物や通りなど)の環境とも良く調和しており、このトレヴィの泉は、文句なく素晴らしいなあと思いました。なお、この泉は、BC19年アグリッパが水道を引き、その後使われなくなりました。再度復活させるため、1732年、法王クレメンス12世の募集により入選したデザインはニコラ・サルヴィ、彫刻はブラッチが担当して完成させたとのことです。


トリトーネの噴水
トリトーネの噴水
 トレヴィの泉から歩いて少しのところにトリトーネ大通りがありますが、この通りとバルベリーニ通りの接点にバルベリーニ広場があります。この広場の真ん中にあるのが、トリトーネの噴水です。(掲載写真は小さくて見えにくいですが)大きな貝殻の台座を支えているのは4匹の魚です。

 その上の貝殻台座に乗ってほら貝を吹いているのが、半人半魚の海神トリトーネです。このトリトーネの噴水は、バロック時代の建築家ベルニーニ作で、1637年にできたとのことです。このデザインは、支えている魚の形、貝殻、トリトーネの格好など、そう大きなものではありませんでしたが、強い印象が残るとともに、なかなかアイデア賞ものだなあと思いました。建築家ベルニーニに、拍手です。

 また、この噴水の勢いが良くて、泉に近づきすぎて風向きによっては水がかかるほどでした。(このページ掲載写真の通り)噴水後方には、「ホテル・ベルニーニ・ブリストル」(屋上に看板)がありますが、私の個人的な見方ながら、この角度からの方がこの噴水が壁の色調和で、いいかなあとも思いました。


ネプチューンの噴水
ネプチューンの噴水
 まず、このネプチューンの噴水のあるナヴォーナ広場のことからです。この広場は、元々、南北に長い約240m、幅約65mの古代競技場跡に作られました。そのため、この噴水のある側(北側)の建物(掲載写真の通り)自体が湾曲しています。

 夜も昼も観光客や市民の方が多く、露天商やレストランも沢山あり、下町の広場と言うと感じでした。実際、私たちも、ここのレストランのテラス席で昼食をとり、ゆっくりしました。その時、その前に偶然にも結婚式を終えたばかりの新郎新婦、二人を祝福する家族や友人に加え、楽器を奏でながら歌が始まり、本当に賑やかになったのを良く覚えいます。改めて「あー、ここは市民の方が良く立ち寄る広場なんだなあ」と思ったものです。

 この広場には、北からネプチューンの噴水4大河の噴水(4大河=ナイル川、ガンジス川、ドナウ川、ラプラタ川を擬人化した彫像)、ムーア人の噴水と、中央部に一列に並んでいます。この中で最も有名なのが、ベルニーニ作の4大河の噴水で、一番大きな噴水です。ネプチューンの噴水は、アントニオ・デラ・ピッタとグレゴリオ・ザッパリの制作とのことのようです。



マルグッタ通りの泉
 スペイン階段からポポロ広間まで歩いて行く途中、偶然、このマグルッタ通りにある泉は見つけました。私たちは、スペイン階段からバヴィーノ通りを歩き、その道から脇にそれて、マグルッタ通りに入りました。この通りは、(私たちが行った日がたまたま休日だったのかもしれませんが)それまでの賑やかさが嘘のように静かでした。

マルグッタ通りの泉
 このマグルッタ通りは、店が開いていれば画材や画商などの店があると聞いていましたが、この日は通りの奥まで見渡せるくらいガランとしていました。暑い日でしたので、撮影のため遅れながらの私に、先に行っている皆が、「ここに泉がある」と言いながら手を洗っていました。

 それが、今回掲載の写真です。写真は小さくて分りにくいかもしれませんが、上部にアーチのような形状があって、そこには「SPQR」の文字がありました。この「SPQR」の文字は、なんと読んで、どんな意味があるのか、イタリア語を知らない私には、最初分りませんでした。

 その後分ったのですが、この言葉は、「SPQR」=Senatus Populusque Romanus=「元老院とローマ市民」で、ローマの国を表しているようです。そのアーチの下には顔があり、鬼の面のようでおもしろい形をしていました。水が出てくるのは人間の顔でまるで怒ったような表情の口からこぼれていました。暑さに負けて、私も水を一口飲んだところ、冷たい、まあまあの水
でした。

 さらに、手、腕や顔を洗うと、サッパリしました。しばし、皆で、「面白い形や」とか「ローマは、どこにでも泉があるね」とかの話題になりました。後で、この泉の製作者や年代も本などで調べたのですが、分りませんでした。ですから、ここの泉の本当の名前も不明です。

 また、この泉から先に進むと映画『ローマの休日』で有名なグレゴリーペック扮する新聞記者「ジョー・ブラッドレー」の住むアパート「マグルッタ通り51番地」となります。念のため、ここは普通の住人の方の住まいです。(掲載日:2005年1月24日)

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