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聞いた言葉・第101回目、『広場と市場』

 

広場と市場

colosseo01.jpg (14221 バイト)
ローマ、カンピドリオ広場
ローマ、ナヴォーナ広場
ストラスブール、ブログリー広場

リボーヴィレ、青空市場

パリ、コンコルド広場

 私は回数も少ないですし行った場所も限られていますが、ヨーロッパなら今まで4回行きました。あと、日本国内なら点と線みたいな旅行ながら47都道府県全部一応まわりました。そのような旅行時、けっこう見たのが、今回書こうとしています広場と市場です。

 今回のテーマは私の見た範囲内ですが国内より圧倒的にヨーロッパの広場と市場の方が特徴あったような気がします。それも色々と国別で、あるいはその国の中でも街ごとに路地裏ごとに、この広場と市場は違っていました。大きくて有名と言えばヴァチカン、サンピエトロ寺院前のサンピエトロ広場があります。ここでのミサなどは最大規模で10万人近く入られると思います。

 ローマ、カンピドリオ広場はミケランジェロ設計の幾何学模様が目を引きますが、周囲の建物含めての一体感がありました。パリのコンコルド広場やエトワル広場などは、毎年のように大きなイベントが開催されています。ほかにも、まだまだ多くの大きな広場がありますが、とても紹介しきれません。

 でも、私は大きな所も歩きましたが、それよりも通常は広場だけど、毎月何曜日から何曜日までは露天商などが出て市(いち)が立つ広場の方に興味が湧きました。たとえばクリスマス前にヨーロッパ中から買い物客などで賑うストラスブール、ブログリー広場みたいな所です。

 ここからヨーロッパの広場では、主にどのように使われているか実際見学した内容と書籍などに書かれている事項も含めて下記に順不同に列記してみました。ただし、内容や項目ごとに、きちっと整理した訳ではありませんので、ご了承願います。

広場の使われ方(一例)
・市民の憩いの場(休憩や食事する所でもあり、情報交換や社交場でもある)
・大道芸人や芸術家の集う場
・青空市の立つ場
・記念碑や史跡の場
・集会やデモンストレーションの場(ある種、政治的な場)
・天災や火災からの避難の場
・観光地
・宗教の場
などです。ほかにも広場の目的や利用方法などはあるかとは思いますが、上記だけでも、なかなか多種多様な使い方だと思っています。

  あと、今まで見てきた広場は街の主にどこにあり、あるいは過去はどんな役割があって現在に至っているのかを考えてみました。広場はヨーロッパに数々あれど、その立地条件などは、ある共通項が見えてきました。そのことを列記すると下記のような事項と思われます。

広場になる共通した条件
・街の中心地(市レベルなら1か所もしくは数か所、町内別なら路地裏含めて無数の場所)
・交通の要衝(道路が交差している所、十字路やその近くなど)で便利な所
・平地なら近くもしくはそう遠くない距離に川もしくは運河のある所
などです。あと、広場の中には役場跡、競技場の跡、教会跡みたいな、何か別の用途で最初使われていて、その後広場に転用されたような所も多かったと思います。

 なぜ、ヨーロッパでは大きな街では当然ながら、小さな町レベルでも広場が、そこここにあるのか考えてみました。それは、日本なら戦国時代みたいな時の街造りとも関係しているのではないかとも思いました。日本の場合、城の中心は城主(殿様)とそれを守る武士団です。それに対し日本様式みたいな城も当然ありましたが、ヨーロッパでは街全体を城壁で囲んで守るという方式もあった点が、日本との違いと思いました。

 この城壁を街全体で囲むと言う方式なら、中心地に人々を集めて何か意思決定とか伝達、あるいは外に向かって軍事行動を起こす場合、出征兵士を市民が見送る、逆に迎え入れる場所として規模の大きい広場は必要ではなかったのかと言うことです。

 しかし、いつも戦争や大規模な政治活動があった訳ではありませんから、通常期、広場は市場など経済活動に主に使われたのではないかと推測しました。市場などが活発になると、それを目指して商人、運輸、飲食関係の業者が集まるでしょうし、さらに大道芸人や芸術家も寄って来て、段々と周辺には住居、商店街あるいは学校や役所なども出来ていったと思われます。

 このように、街全体を城壁で囲んでの都市形成も大きいですが、もっと基礎的な部分の街づくりに果たした広場や市場の役割はなくてはならない、つまり広場や市場を中心にヨーロッパの街は栄えてきたのではないかとも思いました。

 歴史は古今東西、「偉大な指導者が作ってきた」と言う人もいれば、逆に「名もない庶民大衆が歴史を作って来た」と述べられる人もいます。私は、どちらの論もそうだなあと思いつつも広場だけは庶民が集い、大衆が発展させてきたように思えてなりません。

 このように私は広場や市場は、ある面そこの地域の経済を計るバロメーターとも思えます。。また、市場で売られている量や種類から、あるいは広場の造りからして、そこの地域の風習や歴史の一旦まで醸し出していうようにも思え、街全部を廻ることはことは出来なくても雰囲気くらいは感じられるのではとも考えています。

 元は競技場でベルニーニの彫像や泉もあるローマ、ナヴォーナ広場で甥・姪たちとスパゲッティー食べながら、大道芸人の演技を見たり、露天商と買物の話をしたりの光景は、今なお昨日のことのようによみがえります。

(記:2008年6月8日)

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