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聞いた言葉・第100回目、『三つ子の魂百まで』

 

三つ子の魂百まで

 この言葉は、話しことばでは「三つ子の魂百までも」と後ろに「も」を付ける場合も多いでしょう。あまりにも有名で分かりやすい言葉ですから補足も注釈も必要ないかとは思いますが、一応「幼いころの性格は、年をとっても変わらないということ。」(国語辞典の大辞泉参照)と言う意味で使われています。

 あと、この言葉は、いい意味で使われる場合もありますが、どちらかと言いますと例えば、幼馴染みのAさんが何か問題を起こした場合、「あー、あのAさんは幼稚園の頃も、あんな感じやった。いくら年を取っても変わっていないねえ」と言われる場合が多いような気がします。

 かく言う私も既に、この「聞いた言葉シリーズ」の第80回目『なくて七癖』ページに書いていますが、生まれ育った時に本人が知らずしらずの内に身に付けた癖とか性格は、本人としては直したいけど、なかなか変わらないのだなあと実感を込めて思っています。

  私のような者が言わなくても家庭環境などは、その家ごとに違っているのは当たり前のことながら例えば兄弟姉妹が多いところ、逆に一人っ子か少人数でも性格は違ってくるでしょう。また、非常に抽象的な表現ながら親が神経質な人、逆におおらかな人という育てる側が違った対応でも、その違いはあるのではないでしょうか。

 一般には、この3歳児頃までの子供に与える影響は遺伝もさることながら、その育つ環境や親からの影響が大といわれています。一つひとつの例は挙げませんが、親が子供に向き合う、接する態度しだいで大きく左右されると言うことだろうと思います。しかも、その時備わった性格は、その子供にとって一生影響があると言うことではないでしょうか。

 その意味からすれば、その後教えてもらう小・中・高校生時の先生や大学教授よりも影響が大きく大事だと言うことだろうと思います。テレビなどでも有名人に初めての子供さんが生まれた時のインタビューの答えとして多くの方が「将来誰からも好まれる人になって欲しい」などと聞きます。古今東西、親が我が子の健やかな成長を望まない人はいないでしょうし、どなたも「いい性格の子になって欲しい」と願っている親御さんばかりだと思います。

 しかし、その親御さん含めた社会環境は、大きい事柄だけでも「格差社会」、「ワーキングプア」、「過労死」、「年金不安」、「老後の不安」、「年間自殺者3万人」とかの言葉で象徴されている現在の状況ですが、このようなことを書けば直ぐに「そんなのは育児とは関係ない。昔も大なり小なり問題はあったが子育てはやってきた」とおっしゃる方もいらっしゃると思います。それは、その通りかもしれません。

 しかし、子供が生まれてからの何年間の育児にしても、その後の学校教育にしても、その時代の社会環境の影響は、様々な形で投影することもあるでしょうから良くするに越したことはないと思います。現実の大きな落差は感じつつも「三つ子の魂百までもと言うが、あの頃育った人たちは、いい時代だったなあ。そのことがおじいちゃん、お婆ちゃんになっても、よく分かるよ」みたいに70年後くらいに言われるようになれば理想でしょうが。

(記:2008年6月4日)

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