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聞いた言葉・第129回目、ブームは長く続かない、劇場は長続きする場合もある

ブームは長く続かない、劇場は長続きする場合もある

 今回のこの言葉、標題ですから短く書いていますが、私が聞いた文言は、やや長くて<主には歌や芝居などについて「テレビなどによって作り上げられたブームは長く続かないが、 劇場などで演ずる・歌う場合は長続きする場合もある」>からです。 あと、これらの言葉は私も還暦近くになってきましたので、1回や2回だけでなく何回となく様々な方々から見聞きしたような気がします。また、このページにこれから書きますことは、色々な具体例も書いていますが、ある特定の、ある現象だけに絞って書いている訳ではありません。

  先に、この言葉の語源や意味を書きますと、boom(ブーム)は、eプログレッシブ英和中辞典には「(数などの)急速な増加,(経済の)急成長, (都市などの)急発展,(価格の)急騰;にわか景気,(急な)大流行,ブーム」などと書いていあります。 また、国語辞典の大辞泉には「 ある物が一時的に盛んになること。急に熱狂的な人気の対象となること」 などと書いてあります。

  つまり、ブームという言葉自体が、「にわか」、「急激」、「一時期的」と言うことです。ですから 長く続くことは、むしろブームとは言えないとも思えます。あと、私は、ブームにも様々な事柄があるので、 全て”良いこと”ばかりとも思えないですが、それでも人が自分の体力や才能などを発揮された形(集合体)でのブームや活躍は、やはり目を見張るものがあります。

  特に、例えばスポーツの世界で「・・・競技」とか、また他にも「・・・音楽」、「・・・趣味」など、このように直接人が関係し作り上げたブームは、たとえ 一時期の最盛期は去っても多くの国民(大衆)から受け入れられれば、その後の山あり谷ありはあっても継続、定着して行く可能性もあります。例えば私の50数年前の小学校時代、地域にはサッカークラブなどもなかったです。でも 、その後の「サッカーブーム」と呼ばれた前後から、ほぼ全国どこでも子どもたちのクラブチームも出来て以降ずっと 活躍されているのではないでしょうか。

  劇場(芝居)について、私は1986年にフランス、パリに行った時に通訳の方から「あの芝居小屋では十数年間同じ 題名の芝居を続けているよ」と聞きました。つまり、「超ロングラン」と言うことのようでした。私は、日本ではそのようなことは 聞いたことなかったので驚きながらも色々と話している中で、芝居(劇場)は同じストーリーであっても 毎回の役者さんが醸し出す雰囲気は微妙に違っていて、面白ければ何週間後あるいは何カ月後かに、また見たくなるのかなあと言う 印象を持ちました。

  音楽でも、テレビなどマスコミによって作り出された影響は一気に全国に波及しますが、その分、熱しやすく冷めやすくもなります。ただ、かつての話になるかもしれませんが、一曲だけでも全国ヒットが出れば一生食えるとも聞きましたので一概に全てを語れないのかもしれません。 それに比べ「劇場に強い歌手や俳優さんは、長続きされる場合もある」と聞きました。

 先ほどの芝居小屋含めて劇場は、歌う・演ずる方も観客席で見る方も生身の人間ですから劇場内の空気と言いますか、雰囲気さえも日によって違うのではないかと想像しています。また、歌う・演ずる方も日によって、全部うまく出来た場合もあるでしょうし、やや納得がいかない場合もあるかもしれません。あと、劇場から出てこられた観客へのインタビューなどで「いやー、(CDで聞くより)生の音楽はいいねえ」みたいな感想があるのは やはり、劇場音楽(ライブ)の醍醐味とも言えるのではないでしょうか。 ですから、歌手の中には記者会見などで「CDを買って下さい」と言うより「今度、劇場に見に来て下さい」と言われる方が多いような気もしています。また別の側面からして、そう大きくなくても自前の劇場を持っている会社などは、色んな意味で強いのかなあと思えます。

 まあ、劇場は何でもかんでもいいことばかりではなく、公演が長くなればなるほど歌う・演ずる方の体調管理などの問題、さらにはその方々の年齢に応じた揺るぎない実力や才能などの関係もあるでしょう。あるいは劇場経営の側面として、いつも満席ばかり続けばいいですが、そうはいかない時の難しさや苦労は、観客として分からないことかもしれません。いずれにしても、観客や国民を喜ばせる、あるいは楽しませる才能豊かな方々は、願わくば長続きして欲しいなあと、いつも思います。

(記:2011年7月4日)
  

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