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ログハウスの12か月
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ログハウスこぼれ話し、12月
月への美意識
 はじめに、このページ掲載写真は、2003年12月7日17時30分くらいに撮りました。車で帰宅途中「あっ、いい月が出ているなあ」と思い慌てて車を置き、カメラを構えたものです。 月月に月見る月は多けれど 月見る月はこの月の月(詠み人知らず) 月の話題は、大昔からの和歌、短歌や多くの書き物を出すまでもなく、やはり秋の話題だと思います。だからと言って冬はそうでもないかと言いますと、それはそれでいいと私は思います。

 月の話題と言えば、私は高校時代に古典を教えて下さった先生の言葉が、今でも少し残っています。正確さはありませんが、概要次の通りだったと思います。「現代人や西洋人は、月の満ち欠けで最も美しいと思って見るのは満月だ。しかし、平安貴族や万葉歌人は、満月よりも三日月みたいに欠けている部分も想像して、もしも、満ちていたら、こんなに綺麗だろうなあと言う想像の美も含めて楽しんでいた」と。

 つまり、その時その場で見ただけで判断した美しさでは、本当に美しいと思う域に達していない、想像も働かせて見た美しさが本当の美の感性だと。

 (書物の名前は残念ながら覚えていませんが)平安時代の文人や歌人は、既に月を見る感性が、その域に達していたと先生は言いたかったと思います。

 まあ、もっと言えば現代人は見た目の、直感的な美意識ばかりで、人間が本来持っている考える、想像する、予想する、振り返るなど総ての力を働かせてまで美を追求していないと言うことだろうと思います。

 暇さえあればデジタルカメラをぶらさげて、それこそ見たままの、直感的なところしか撮っていない私なんぞは、万葉歌人の考えどころか、美意識も感性もないに等しいと言われているようです。

 あと、月は地球との引力との関係上、海の満ち潮・引き潮を始め、さらには人間の誕生や死、あるいは植物との関係も深いと言われています。

 そう言えば(既に亡くなった)父が、農作業をしていた当時「種まきは今の暦(太陽暦)では役に立たない。やっぱり昔の暦(太陰暦)が役に立つ」と良く言っていました。なぜなら種をまく時季によって、作物の収穫量に影響があると言うことでした。また、月は、月見(観月会)、月にまつわる色々な名前、多くの小説や童話も含め本当に日本人に親しまれていると思います。

 私は外国のことは知りませんが、大昔から日本人は地球と月さらには人との密接な関係を経験則から知っておられ、だからこそ、月への美意識も研ぎすまされていて高い感性も持っておられたのではないでしょうか。目先だけしか見えない私にとって考えさせられます。(掲載:2005年12月18日)
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